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地域地区制度 (ちいきちくせいど)

 都市計画法に基づく土地利用規制である。土地利用規制は、この「地域地区制度」とともに「線引き制度」(都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に二分して市街化規制する)、大都市地域で市街地整備や住宅地供給促進の特定区域を指定する「促進区域制度」からなる。うち、「地域地区」は、「用途地域」と「特別用途地区」「その他の地域地区」に大別される(同法第8条第1項)。

 「用途地域」は地域地区の中で代表的なもの、建築物の用途及び容積などを規制するものであり、13種ある。「特別用途地区」は地方産業の育成・文化活動などの環境保護等や、より地域的、かつ、詳細な用途の制限などを行う補完的制度。「その他の地域地区」は、個々の法律に基づきその法律の目的の実現を図るための地域地区である。

 〈小口〉

地域住宅計画 (ちいきじゅうたくけいかく)

 地域の発意と総意に基づき、良好な住宅市街地の形成、地域住宅文化の育成、地域住宅生産の進行などに関して策定する地域レベルの住宅計画である。平成17(2005)年6月に制定された「地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法」に基づく。

 地方自治体が地域の実情に応じた住宅施策を推進するため、公的賃貸住宅の整備等に関して定めており、計画に基づき実施される事業に対しては、社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金が交付される。

 東京都は、令和2年2月に都内全区市町村との共同計画として「東京都地域住宅計画(第4期)」を策定したうえ、これに基づく事業を位置付けた「社会資本総合整備計画(住宅分野)」も併せて策定している。この計画に基づき、地域の実情に即した住宅施策が展開されていく予定である。

 〈小口〉

地域危険度 (ちいききけんど)

 地震に関する地域の危険度を科学的に測定したもの。

 東京都では、東京都震災対策条例(旧「は震災予防条例」)に基づき、昭和50 (1975)年11 月に第1回(区部)の地域危険度を公表した。以後、同条例(第12条第1項)に基づき、概ね5年ごとにこれを測定し公表している。

 この調査では、①建物倒壊危険度(建物倒壊の危険性) ②火災危険度(火災の発生による延焼の危険性) ③総合危険度(上記2指標に災害時活動困難度を加味して総合化したもの)
各項目の危険性を町丁目ごとに測定している。

 また、特定の地震を想定するのではなく、全ての町丁目の工学的基盤(注)において、同じ強さの地震が起きたと仮定し、危険度を測定している。
どのように地域の危険性を測るのか
 
 区部及び多摩地域の市街化区域を対象に、町丁目を単位として、地震による危険性を科学的に測定し、地域危険度のランクは5段階(低いほうから1~5)の相対評価としている。各ランクの存在比率をあらかじめ定め、危険量の大きい町丁目から順位付けを行い、ランクを割り当てるという方式である。

 〈小口〉

多心型都市構造 (たしんがたとしこうぞう)

 「多数の拠点、核、それを取り巻く多数の圏域から構成される都市構造」とされる。反義語は「一点集中型都市構造」。

 一か所に業務機能、商業機能が集中することから派生する都心の人口空洞化、地価高騰などの問題解消のため、東京都は昭和57(1982)年に策定した「東京都長期計画マイタウン東京―21世紀をめざして」において、「都心一点集中型」の都市構造を是正するため、都心、区部の7副都心(新宿・渋谷・池袋・上野・浅草・錦糸町・亀戸・大崎・臨海)、5つの多摩の「心」(八王子・立川・町田・青梅・多摩ニュータウンで構成される「多心型都市構造」への変換を目指してきた。

 しかし、平成13(2001年10月策定の「東京の新しい都市づくりビジョン」では、多心型都市構造の考え方では対応し得ない新たな時代の要請が生じたとの認識に立ち、「環状メガロポリス構造」なる新たな都市構造を希求することとなった。

 〈小口〉

多自然川づくり (たしぜんかわづくり)

 川を単に治水・利水のために機能させるのではなく、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、 河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するような川づくりを行うことである。「多自然川づくり」はすべての川づくりの基本であると位置づけ、一級河川、二級河川及び準用河川すべてが対象となる。

 平成2(1990)年、建設省(現・国土交通省)から「『多自然型川づくり』の推進について」の通達が出されたことに端を発する。ここに、河川の生物の生息・生育環境及び美し
い自然景観を保全・創出する「多自然型川づくり」が始まった。その後、平成9(1997)年には河川法が改正され、河川環境の整備と保全が河川法の目的として明確化されるとともに、河川砂防技術基準(案)において「河道は多自然型川づくりを基本として計画する」ことが位置づけられ、現在では多自然型川づくりはすべての川づくりに適用されるようになっている。やがて、事業の名称も、平成18(2006)年に「多自然型川づくり」から「多自然川づくり」へと変更された。

 〈小口〉