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都市施設 (とししせつ)

 都市における諸活動を支え、生活に必要な都市の骨格を形作る施設のことだが、「都市計画法」では次のものを「都市施設」としている(法第11条第1項各号、同施行令第5条)。当然、これらは都市計画に定めることができる。


  1 交通施設(道路、鉄道、駐車場など)
  2 公共空地(公園、緑地など)
  3 供給・処理施設(上水道、下水道、ごみ焼却場など)
  4 水路(河川、運河など)
  5 教育文化施設(学校、図書館、研究施設など)
  6 医療・社会福祉施設(病院、保育所など)
  7 市場、と畜場、火葬場
  8 一団地の住宅施設(団地など)
  9 一団地の官公庁施設
  10 流通業務団地
  11 電気通信施設、防風・防火・防水・防雪・防砂・防潮施設

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都市型水害 (としがたすいがい)

 大都市に特有の被害や態様を呈する水害を指す。

 例えば、高度に交通網や通信網が整備され、膨大な人口を有する大都市は、局地的な集中豪雨に対する脆弱性を内包している。路面がアスファルト舗装されていたり、コンクリート建造物が密集していれば、地中への雨水の浸透が低下する。このため、局地的な豪雨があると雨水が一気に下水道や中小河川へ流れ込むことになる。さらに、排水処理機能がこれに追いつかず、雨水が下水道や中小河川からあふれ出し、道路や低地が冠水したり、繁華街や地下街での浸水による被害が発生する。

 東京でも、河川・下水道等の整備水準を大幅に上回る1時間100ミリを超える集中豪富が頻発している。すると、土地の保水・湧水機能が大幅に低下した地域や、浸水危険度の高い地域では、地下室・地下街等への浸水が発生している。たとえ比較的浸水の面積が小さかったにせよ、資産の集中・集積が著しい大都市では、被害額が人体となることも都市型水害の特徴である。

 こうしたことを背景に、東京都では平成13(2001)年1月に「東京都都市型水害対策検討会」を設置し、都市型水害に対する施策について、ハード・ソフト両面から総合的に検討を進め、同年11月に最終報告を取りまとめるなどの取り組みをしている。

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都市開発諸制度 (としかいはつしょせいど)

 建築基準法に定める形態規制(例えば、容積率や斜線制限)を緩和することにより、市街地環境の向上に寄与する良好な都市開発の誘導を図る制度である。具体的には、次の4つの制度がある。

  1. 再開発等促進区を定める地区計画
  2. 高度利用地区
  3. 特定街区
  4. 総合設計

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都市開発地区 (としかいはつちく)

 首都圏整備法に基づき、既成市街地及び近郊整備地帯以外の首都圏の地域のうち、工業都市、住居都市その他の都市として発展させることを適当とする区域を「都市開発区域」として指定することができる。

 「既成市街地への産業及び人口の集中傾向を緩和し、首都圏の地域内の産業及び人口の適正な配置を図るため必要があると認めるとき」に、国土交通大臣が指定するものである。

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都区財政調整制度 (とくざいせいちょうせいせいど)

 「都区財調(とくざいちょう)」と、しばしば略称される。都と特別区の間に特有の財政制度で、地方自治法を根拠に設けられている制度である(法第282条第1項)。「都は、都及び特別区並びに特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、政令で定めるところにより、条例で、特別区財政調整交付金を交付するものとする。」とある。一言で言えば、都が集めたある種の税金を財源に、条件や規定に従って、必要とする区に配る(交付する)ということである。

 実際の都区財政調整は、「都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例」(昭和43年3月公布)に基づき、地方交付税に準じた方法により算定した交付金を都が交付するという形で行われている。交付金の財源であるが、「調整3税」と呼ばれる税金(固定資産税・都民税・特別土地保有税)の収入見込額に調整率を乗じて得た額を「交付金の総額」とし、これが財源となる(同条例第3条)。

 交付金には「普通交付金」「特別交付金」の2種がある(同条例第4条第1項)。

 「普通交付金」は、都が各特別区ごとに基準財政需要額と基準財政収入額を算定し、基準財政需要額が基準財政収入額を超える特別区に対して交付する(同条例第5条1項)。他方、「特別交付金」は、普通交付金の額の算定期日後に生じた災害などのため特別の財政需要が発生した場合などに交付する(同条例第5条第2項)。

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