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美観地区 (びかんちく)

 都市計画法に基づき、市街地の美観を維持するために定められる地域地区(同法第9条第20項)であった。平成16(2004)年の景観法が策定されたのに伴い、「美観地区」は「景観地区」に取り替わり廃止された。

 「風致地区」が自然的景観を保護対象とするのに対し、「美観地区」は建築物の配置、構造、建築物の色彩や、屋外広告など人工的景観が対象であった。

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日影規制 (ひかげきせい)

 中高層建築物が生じさせる日陰に着目し、建築物の形態を規制し、容積率、建蔽率などの形態規制とともに、良好な市街地の形成を図ることに寄与するものである。

 建築基準法に基づき、条例で定める区域内では、一定の高さ以上の建築物はその敷地の境界線から一定範囲内に一定時間以上の日陰をつくってはならないこととされる(同法第56条の2第1項)。

 東京都では「日陰による中高層建築物の高さの制限に関する条例」が昭和53年に制定されて、日影規制を実施している。
  
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ビオトープ (biotope)

 ドイツ語の“Biotop”―生き物(Bio)がありのままに生息活動する場所(Top)を意味する合成語―に由来する。野生の生物の生息可能な自然環境を復元するための理論である。

 ビオトープ事業とは、公共事業や民間の開発行為において、積極的に野生の生き物が生息可能な感興をよみがえらせ、想像する事業のことである。自然環境の保全と開発の調和がスローガンである。

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ヒートアイランド現象 (ひーとあいらんどげんしょう)

 局地的な高音域が都市部にできる、要するに、都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことである。気温の分布図を描くと、等温線の形状が都心に向かって高く、島のように見えることからこの名がついた。関東地方の場合は、東京都市圏を中心に高温域が広がっている。

 19世紀初頭にすでにロンドンで観測され、続いて、ニューヨーク、セントルイス等の都市を対象に研究され始めた。東京都でも、大手町と青梅との気温差を経年変化の観察などから、ヒートアイランド現象が指摘された。都市化の進展に伴って、ヒートアイランド現象は昂進し、熱中症等の健康への被害や、感染症を媒介する蚊の越冬といった生態系の変化など、深刻な環境問題となりつつある。

 こうした現象が起こる主な要因として、①土地利用の変化の影響(植生域の縮小と人工被覆域の拡大や②人工排熱(人間活動で生じる熱)の影響などが指摘されている。
 
 ①の要因については、草地、森林、水田、水面等の植生域と異なり、アスファルトやコンクリート等による人工被覆域は保水力が低く、水分の蒸発により熱を奪うという作用により、主に日中の気温の上昇を抑えるという効果が期待できない。加えて、人工被覆域は植生域と比べて日射による熱の蓄積が多く、日中に蓄積した熱を夜間になって放出することになるため、夜間の気温の低下が妨げられる。さらに、都市で建築物の高層化及び高密度化が進むと、天空率が低下し地表面からの放射冷却が弱まること、また、風通しが悪くなり地表面に熱がこもりやすくなることにより、さらに気温の低下を妨げることになる。

 ②については、都市の多様な産業活動や社会活動に伴って熱が排出され、特に都心部の人口が集中する地域では昼間の排熱量が局所的に極度に高まるため、これも大きくヒートアイランド現象に参与すると考えられる。

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バードサンクチュアリ (ばーどさんくちゅあり;bird sanctuary)

 「鳥の聖域」を意味する。単なる鳥獣保護のための領域ではなく、環境保全やバードウォッチングなど野鳥と触れ合うような自然体験の機能を持つ区域である。

 その形態は、公園の一角を区切り、巣箱や餌台、池などを配したり、小鳥の餌になる実のなる樹木を栽培したりする、野鳥を積極的に保護しようとする施設となるのが通常である。23区内にも、代々木公園、水元公園、光が丘公園などに設けられている。
  
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