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ヒートアイランド現象 (ひーとあいらんどげんしょう)

 局地的な高音域が都市部にできる、要するに、都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことである。気温の分布図を描くと、等温線の形状が都心に向かって高く、島のように見えることからこの名がついた。関東地方の場合は、東京都市圏を中心に高温域が広がっている。

 19世紀初頭にすでにロンドンで観測され、続いて、ニューヨーク、セントルイス等の都市を対象に研究され始めた。東京都でも、大手町と青梅との気温差を経年変化の観察などから、ヒートアイランド現象が指摘された。都市化の進展に伴って、ヒートアイランド現象は昂進し、熱中症等の健康への被害や、感染症を媒介する蚊の越冬といった生態系の変化など、深刻な環境問題となりつつある。

 こうした現象が起こる主な要因として、①土地利用の変化の影響(植生域の縮小と人工被覆域の拡大や②人工排熱(人間活動で生じる熱)の影響などが指摘されている。
 
 ①の要因については、草地、森林、水田、水面等の植生域と異なり、アスファルトやコンクリート等による人工被覆域は保水力が低く、水分の蒸発により熱を奪うという作用により、主に日中の気温の上昇を抑えるという効果が期待できない。加えて、人工被覆域は植生域と比べて日射による熱の蓄積が多く、日中に蓄積した熱を夜間になって放出することになるため、夜間の気温の低下が妨げられる。さらに、都市で建築物の高層化及び高密度化が進むと、天空率が低下し地表面からの放射冷却が弱まること、また、風通しが悪くなり地表面に熱がこもりやすくなることにより、さらに気温の低下を妨げることになる。

 ②については、都市の多様な産業活動や社会活動に伴って熱が排出され、特に都心部の人口が集中する地域では昼間の排熱量が局所的に極度に高まるため、これも大きくヒートアイランド現象に参与すると考えられる。

 〈小口〉