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立体都市計画制度 (りったいとしけいかくせいど)

 必要があれば、従来の「区域」に加えて「立体的な範囲(空間及び地下)」を定めることを可能とした制度である。平成12(2000)年5月の「都市計画法」改定により新設された(同法第11条第3項)。

 都市計画施設の区域内では建築制限(同法第53条第1項)が課せられるが、この「区域」とは平面概念であるため、その制限は“天井天下”に及んでいる。しかし、この新制度を活用すれば、「地域」に加え「立体的な範囲」が設定できるため、都市計画の区域内であっても、建築制限の適用除外または建築許可が可能となる。ということは、建築の自由度が高まり、適正かつ合理的な土地利用の促進を図ることができるようになったということである。

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立体道路制度 (りったいどうろせいど)

 一言で言えば、道路の上下空間に建築することを可能にし、道路と建築物等との一体的整備ができるようにした制度である。平成元年(1989)年に創設された。


 従来、道路区域は平面的な区域で指定されるため、地表面のみならずその上空や地下空間も道路区域となり、その道路内に建築物を建築することは禁じられていた。しかし、「立体道路制度」では、道路区域は立体的な範囲で指定され、立体的区域の外側空間は道路区域ではなくなることから、建物等を建築することも可能となるわけである。このために、平成元(1989)年、「都市計画法」「都市再開発法」「建築基準法」「道路法」を改定して、これらを一体的に運用できるようにした。

 「立体道路制度」は、用地費高騰などの諸要因により道路用地取得が困難になる中、市街地における交通渋滞解消の要請と、土地の有効・高度利用の両立を図る必要から設けられた制度と言えよう。

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用途地域 (ようとちいき)

 都市計画の中で、エリアごとに建築できる建物の種類、用途の制限を定めたルールである。「都市計画法」(昭和43年法律第100号)に基づく制度で、都市地域の土地の合理的利用を図り、市街地の環境整備や都市機能の向上を図ることが目的である。そのために、建築物の建築を用途や容積などにより規制するという形をとる。

 ただし、優先的に市街化を図るべき「市街化区域」については用途地域を定めることとされ、逆に市街化を抑制すべき「市街化調整区域」については用途地域を原則として定めないこととされている(同法第13条第1項第7号)。

 現在、大きく分けて「住居系」「商業系」「工業系」3系統の用途地域があり、さらに細かい用途地域は総計13種類となっている(住居系8、商業系2、工業系3)。明細は次の通り。

 1 住居系
 
  ①第一種低層住居専用地域
  ②第二種低層住居専用地域
  ③第一種中高層住居専用地域
  ④第二種中高層住居専用地域
  ⑤第一種住居専用地域
  ⑥第二種住居専用地域
  ⑦準住居地域
  ⑧田園住居地域

 2 商業系
 
  ①近隣商業地域
  ②商業地域

 3 工業系

  ①準工業地域
  ②工業地域
  ③工業専用地域

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容積率 (ようせきりつ)

 建築物の各階の床面積の合計の敷地面積に対する割合を意味する言葉だが、これについては、「建築基準法」(昭和25年法律第201号)による制限がある(同法第52条)。

建築物の床面積を制限することにより、都市計画の基礎である人口フレームをコントロールでき、適正かつ合理的な道路、鉄道、下水道等のインフラ計画及び整備が適正化できる。その指定は、用途地域、建蔽率(けんぺいりつ)とリンクして都市計画で決められる。

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ユニバーサルデザイン (universal design)

 「ユニバーサル(universal)」は「普遍的な、すべての」を意味するが、「ユニバーサルデザイン(universal design)」は、年齢、性別、身体的状況、国籍、言語、知識、経験などの違いに関係なく、すべての人が使いこなすことのできる製品や環境などのデザインという概念である。1990年代、アメリカでノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス(Ronald Mace;1941―1998)博士により提唱去れた。

 ユニバーサルデザインには次の7原則がある。

  (1)公平性(誰でも使いこなすことができる)
  (2)自由度(たとえば右利き、左利き両方が使いやすい)
  (3)簡単さ(作りが簡単で、使い方もわかりやすい)
  (4)明確さ(知りたい情報がすぐに理解できる)
  (5)安全性(使用に安全、安心で、誤使用しても危険が少ない)
  (6)持続性(長時間使用しても、体への負担が少ない)
  (7)空間性(どのような体格、姿勢、動きでも快適に使える大きさ、広さがある)

 障害者・高齢者など身体的にハンディキャップをもつ人々に対して障害(バリア)を取り除く事にとどまらず、すべての人々にとって使いやすく、優しくあれという思想を表現したデザインと言えよう。

 ノンステップバス、建物内の広く段差のない通路から日用品に至るまで、身近なところにこの考え方を反映したものが増えていることに気づかされる。

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