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既成市街地

 一般的に言う「既成市街地」は、建物や道路などがすでに出来上がっており、市街地が形成されている地域であるが、法律上は次のような意味を持つ。

〔1〕「首都圏整備法」(昭和31年)に基づくもの

 東京都及びこれと連接する枢要な都市を含む区域のうち、産業及び人口の過度の集中を防止し、かつ、都市の機能の維持及び増進を図る必要がある市街地の区域で、政令で定めるもの。東京都に即して言えば、特別区(すなわち23区)と武蔵野市の全域、さらに三鷹市のうち一定の区域が該当する。

 「第5次首都圏基本計画」に示された方針は、諸機能の選択的な分散を図りつつ既存の市街地の整備改善を進めることである。


〔2〕「都市計画法」(昭和43年)に基づくもの

 人口密度が1ヘクタール当たり40人以上である土地の区域が連坦している土地の区域で、当該区域内の人口3,000人以上となっている区域とこれに接続する市街地を言う。

 〈小口〉

環境基準

 「環境基本法」(1993(平成5)年制定)に基づいて、人の健康を守り、生活環境を保全するために設けられた環境上の基準である。大気汚染、水質汚濁、土壌汚染及び騒音の4つについてそれぞれ基準が数値で定められている。

 それが意味するところは最低限度としてではなく、より積極的に維持されることが望ましい水準としてその確保を図っていこうとする行政的目標である。

 基準値は、人体影響等の疫学的データに基づいた科学的知見と行政上の実現可能性を考慮して定められる。

 〈小口〉

河川

 国語辞典の解説は、「地表をほぼ一定の流路をもって流れ、湖や海に注ぐ水の流れ。大小のかわ。」というようなものになる。しかし、「河川法」が定める「河川」とは、「一級河川及び二級河川をいい、これらの河川に係る河川管理施設を含むもの」である。

 「一級河川」とは、「国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)で国土交通大臣が指定したもの」。「二級河川」とは、「政令で指定された水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したもの」である。

 このほか「準用河川」というものがあり、これは「一級河川及び二級河川以外の河川で市町村長が指定したもの」、この法律の規定が準用される。

 なお、ここでいう「河川」には、一般に呼ばれる河川のほか、放水路、湖沼、洪水調節地も含まれる。また、法の条項にあるように、「河川処理施設」まで含むのである。「河川処理施設」とは、ダム、堰せき、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯などである。したがって、同法が定まる「河川」とは相当広い意味になる。

 〈小口〉

街路

 国語辞書的に言えば、「市街地の道路』「まちなかの道」ということになるが、都市計画の用語としての意味は、都市計画において都市施設として定められた道路のことである。年内における根幹的都市施設である。

 都市計画法上、その機能に着目して「自動車専用道路」「幹線街路」「区画街路」「特殊街路」に分類される。幹線街路や区画街路が組み合わさり「街路網」が構成される。

 街路は交通のための施設にはとどまらない。通風・採光など快適な生活環境確保の機能、都市防災上の機能、電気・電話・上・下水道・ガスなどライフラインや各種都市施設を収容する空間機能、街区を構成して市街地の発展に秩序をつける機能など、実に多様で豊富な機能を担っている。

 行政用語としては、都市計画法第11条第1項1号に規定する道路(都市計画道路)のうち、国土交通省都市・地域整備局が所管する道路を「街路」、道路局が所管している道路を「道路」と呼んでいる。

 〈小口〉

開発利益

 宅地開発などが行われれば、道路や鉄道、学校、病院といった公共施設も整備され、周辺の土地の便駅が増加する。つまり、地域の住民や企業も利益を受けるわけである。このように開発によって生じた外部に波及する経済効果が「開発利益〕である、

 ただし、その定義は必ずしも明確ではない。「公共公益事業により生じた利益」「土地の売却による利益(キャピタル・ゲイン)」「地元にもたらす間接的な効果」など、理解はさまざまである。

 〈小口〉