所長あいさつ

 商店街のシャター通り化が、かつてほど話題にされなくなりました。問題が改善したのではなく、日本人特有の慣れと飽きによるようです。見回してみると、空き屋、空き室、空きビル、空き工場、そして未耕作地という名の空き農地。私たちの周囲には、「空き」ばかりが目立ちます。

 

 そんな中で、東京だけは高い活力を維持し続けています。東京に集積する膨大な富と、その富がもたらすパワー。東京の活力の源泉がここにあると考えて、それで終わったのでは、言い古された格差論の焼き直しに過ぎません。東京の活力を享受できるのも、一部の富める「勝者」だけに限られることになってしまいます。

 

 都市は生き物です。生き物ですから、見る角度によって異なる表情を持ちながら、また時に無駄とも思える行動を取りながら、絶えず新陳代謝を繰り返しています。新陳代謝とは、すなわち過去と現在と未来の絶妙なるバランスに他なりません。このメカニズムの中にこそ、都市の活力の本質が潜んでいるのです。

 

 ビジネスであれ、社会活動であれ、文化的な取り組みであれ、東京を舞台に新しい何かを始めようとするなら、まず東京のダイナミクスを知ることがスタートです。しかし、複雑極まる東京を目的に応じて理解することは難しく、道しるべがないと森に迷い込んでしまいます。そのお手伝いがしたい。私たちはそう考えて、東京23区研究所を設立しました。


「チャレンジするあなたと共に…」。それが、私たち東京23区研究所の願いです。


一般社団法人 東京23区研究所

所長 池田利道