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街並み誘導型地区計画 (まちなみゆうどうがたちくけいかく)

 市街地の景観を形成する大きな要因である建築物の形態について規定する主な制度は「建築基準法」と「都市計画法」であるが、これらは防災性、安全性、衛生面等の確保が主眼で、景観という視点はほとんど顧慮されていない。そのため、
これら法規制にのみ則った建築が進められれば、景観上はちぐはぐで美観を欠いた市街地が形成される憾みもある。

そこで、平成7(1995)年の都市計画法改正に伴い創設されたのが、「街並み誘導型地区計画」である(同法第12条の5第7項)。地区計画で建物の壁面の位置と建築物の高さの制限等を定め、さらにその計画に基づいた区市町村の条例を制定することにより、建築基準法の制限である前面道路による容積率制限や道路斜線制限を緩和する制度である。

 これによって、全国一律の形態規制のみでなく、地域の実情に即したルールを作り出し、一定の市街地環境を確保しつつ、土地の有効利用の促進に併せて整った街並みの形成を誘導することを狙いとしている。

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