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23区の“背番号”

東京都の特別区部には23の区がありますが、この各区を列記する場合には、その順番が決まっています。トップは千代田区です。次いで、中央区、港区、新宿区…と続いていきます。そして、ラストの23番目が江戸川区となります。

東京都が公表する統計データを区別に集計して示す時なども、この順番になっていることに気づくと思います。

この順番、明治時代から昭和初期まで続いた旧15区(後に35区に拡張、第二次大戦後、これが23区に整理統合される)時代の名残を残すものです。

旧15区時代には、皇居のある麹町区(現在の千代田区の一部)を起点として、時計回りに「の」の字を書くように区の順番が定められていました。麹町区、神田区、日本橋区、京橋区、芝区、麻布区、赤坂区、四谷区、牛込区、小石川区、本郷区、下谷区、浅草区、本所区、深川という順番です。

さて、15区をひと回りしたら、次に、その外側を取り巻くように存在していた郡部でもうひと回りします。これは、荏原郡から始めて、豊多摩郡、北豊島郡、南足立郡、南葛飾郡という順番になります。

1932(昭和7)年10月1日、「大東京市」が成立します。従前の15区に加えて、周辺5郡82町村を東京市に編入し、市域は大幅に拡張します。これに伴って、新たに20区が設置され、それまでの15区と合わせて35区となりました。

35区時代になった後も、区の順番に関する原則は変わりませんでした。、まず旧市域で「の」の字を書きます。これが一巡したら、新市域の品川区を起点に、目黒、荏原、大森、蒲田、世田谷(以上旧荏原郡)、渋谷、淀橋、中野、杉並(以上旧豊多摩郡)、豊島、滝野川、荒川、王子、板橋(以上旧北豊島郡)、足立(以上旧南足立郡)、向島、城東、葛飾、江戸川(以上旧南葛飾郡)と旧郡単位でひとまわり大きな「の」の字を書くわけです。旧郡域の中では、旧市域に近接している区から離れている区へという順が原則です。

そして、現在の23区、トップはやはり、麹町区を前身とする千代田区(旧麹町区・神田区)です。ここを起点に「の」の字を書いて、江東区(旧深川区・城東区)まで行きます。ここまでが「旧市域」に当たるところ(一部「新市域」含む)ですね。

このあと、「新市域」です。これは品川区(品川、荏原)からスタートして「の」の字を書き、ラストに江戸川区が来ます。

こうして定まっている現在の23区の順番は、次のようになっています。

【1】千代田区(麹町区・神田区)
【2】中 央 区(日本橋区・京橋区)
【3】港  区(芝区・麻布区・赤坂区)
【4】新 宿 区(四谷区・牛込区・淀橋区)
【5】文 京 区(小石川区・本郷区)
【6】台 東 区(下谷区・浅草区)
【7】墨 田 区(本所区・向島区)
【8】江 東 区(深川区・城東区)
【9】品 川 区(品川区・荏原区)
【10】目 黒 区
【11】大 田 区(大森区、蒲田区)
【12】世田谷区
【13】渋 谷 区
【14】中 野 区
【15】杉 並 区
【16】豊 島 区
【17】北 区(滝野川区、王子区)
【18】荒 川 区
【19】板 橋 区(板橋区)
【20】練 馬 区(板橋区)
【21】足 立 区
【22】葛飾区
【23】江戸川区

  ※( )内は旧区名

  <理事・研究員 小口 達也>