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大深度地下利用 (だいしんどちかりよう)

 土地所有者が使わない、地下40mよりも深い部分の空間を有効利用しようという試み。

 都市部は過密で新規に施設を整備するにも地下空間にそれを求めざるを得ないが、浅い地下の利用は非常に混雑しており、より大きな深度の地下空間を活用せざるを得なくなってきた。そこで、大深度地下の活用を円滑、迅速にするための法整備として、平成12(2000)年5月19日に「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」が成立し、平成13(2001)年4月1日より施行された。対象地域は三大都市圏である。


 「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」が定義する「大深度地下」とは、次の[1]または[2]のうちいずれか深い方の深さの地下である。
  [1] 地下室の建設のための利用が通常行われない深さ(地下40m以深)
  [2] 建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない深さ(支持地盤上面から10m以深)

 これに従った深度で一定の条件を満たして事業を施行する場合には、原則として土地所有者の許可や土地収用の手続を踏まなくても優先して使用できるため、公共施設の合理的ルート設定が可能となり、事業期間の短縮やコスト削減が見込まれることから将来に大きな期待が寄せられてきた。しかし、令和2(2020)年10月には、23区外ではあるが、東京都内の住宅地で大深度地下利用による東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事が原因とされる陥没があった。このことが今後、大きな議論を呼び、従来の考え方にも変更を及ぼさずにはおらないだろう。

 〈小口〉